「匁(もんめ)」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょうが、その具体的な意味を理解している人はそれほど多くないかもしれません。
タオルを選ぶ際に、「200匁」や「220匁」といった表示を見かけても、その意味が分からず、どれを選べばよいか迷うこともあると思います。
この記事では、タオルの「匁」について、その意味や数値の違いがどのように影響するのかを詳しく解説いたします。
匁(もんめ)について
まずは、今回のテーマである「匁」について詳しく説明します。
匁の意味とは?
タオルにおける「匁」とは、重さや厚みを示す単位です。この単位は、江戸時代に使われていた尺貫法に由来しています。匁という言葉は、当時の一文銭から名付けられました。現在でも、タオルだけでなく真珠の取引などでも使われている単位であり、日本の伝統的な単位の中で唯一、国際的に認められているものとされています。
とはいえ、普段はグラム(g)を重さの単位として使っている私たちにとっては、あまり馴染みのない単位かもしれません。タオル業界では、一般的に12枚を1セットとするダースが基準として使われていますが、タオルの質感によって重さや厚みが変わるため、それを理解するために匁が用いられるのです。
1匁は何グラム?
1匁は3.75gです。この数値は、一文銭の重さが3.75gであったことに由来しています。
身近な例としては、5円玉1枚の重さも実は1匁(3.75g)に相当します。タオル業界では、この匁という単位を使ってタオルの重さを表すのが一般的です。
匁の計算方法は?
1匁が3.75gの場合、200匁のタオルは200×3.75gで750gになると思われがちですが、実際にはそうではありません。この200匁という数字は、タオル12枚、つまり1ダースの重さを示しています。したがって、200匁のタオルは12枚で200匁(約750g)ということになります。これにより、1枚あたりの重さは750gを12で割った62.5gとなります。
タオル1枚の重さは、匁数×3.75÷12で計算できます。もしこの計算が面倒であれば、「匁数÷3.2」を使っても1枚あたりの重さを求めることができます。
各匁のタオル1枚あたりの重さ
「200匁」や「220匁」など、匁数ごとのタオルの1枚あたりの重さをまとめました。
先に説明した1枚あたりの匁の重さの計算方法は、少し複雑に感じるかもしれません。そこで、各匁のタオル1枚の重さをグラム単位で整理しましたので、ぜひ参考にしてください。
匁数 | 重さ(g) |
---|---|
160匁 | 約50g |
180匁 | 約56g |
200匁 | 約62g |
220匁 | 約69g |
240匁 | 約75g |
260匁 | 約81g |
280匁 | 約87g |
300匁 | 約93g |
350匁 | 約109g |
400匁 | 約125g |
450匁 | 約140g |
500匁 | 約156g |
匁による厚みの違い
匁による厚みの違いはどのようなものでしょうか?ここでは、その厚みの違いについて解説します。
匁は厚みを測る基準として用いられる
匁は重さの単位であると同時に、厚みを測る指標としても広く使われています。同じサイズのタオルであれば、重さが増すほど生地は厚くなり、逆に軽い場合は生地が薄くなります。匁の数値が大きいタオルは厚みがあり、小さい数値のタオルは薄手であることがわかります。
ただし、タオルの厚みは匁だけでなく、生地の生産国や素材、加工方法などによっても変わるため、同じ匁でも厚みが必ずしも同じになるわけではありません。それでも、一般的には匁が大きいほどタオルも厚くなるため、厚さを知るための一つの指標として匁がよく利用されています。
タオルの加工方法による厚みの違い
タオルの厚みは、加工方法によって影響を受けます。主に「ソフト加工」と「シリンダー加工」の2種類があります。
ソフト加工では、タオルの表面に熱風を当てて繊維を立たせることで、ふわっとした仕上がりになります。このため、手触りが非常に柔らかく、他のタオルと比べて厚みがあるのが特徴です。また、厚みがあるだけでなく、優れた吸水性も持っています。
一方、シリンダー加工は、タオルを塩素などの薬品に浸した後、シリンダーと呼ばれるローラーでシワを取りながら乾燥させる方法です。この加工により、アイロンをかけたように滑らかな手触りに仕上がります。ソフト加工のタオルに比べてボリューム感は少なく薄手になりますが、その分価格が安くて買いやすいです。
この2つの加工方法では手触りが大きく異なるため、手触りを重視する場合はぜひ参考にしてみてください。
匁によって生地の密度が変わる
実は、匁によって生地の密度も異なります。重さがあるということは、より多くの綿が使用されているということです。そのため、匁の数値が大きくなるほど生地の密度が高まり、しっかりとした質感のタオルになります。
匁が大きい方が良いのか? 生地の品質は何に左右されるのか?
匁が大きくなると厚みや生地の密度が増すため、「匁が大きいほど品質が向上するのでは?」と思う方も多いでしょう。しかし、匁はタオルの重さを示す単位に過ぎず、生地の品質には直接的な影響はありません。そのため、タオルを選ぶ際に品質を重視するのであれば、匁を参考にするのはあまりおすすめできません。
生地の品質を重視する場合は、匁よりも原産国に注目しましょう。特に新年の挨拶として贈る年賀タオルなど、社名入りのタオルでは、生地の品質が匁よりも日本製か海外製かによって大きく異なります。一般的に、日本製の方が価格が高く、その分生地の質も良いことが多いです。
匁はあくまで生地の厚さや重さ、密度を示す指標として捉え、品質を重視する際には日本製を選び、価格を重視する場合は海外製を選ぶと良いでしょう。
匁によるタオルの用途の違いについて フェイスタオルを例に解説!
匁の違いによってタオルの厚みや重さが異なるため、使用するシーンも変わります。例えば、乾いた状態で使用する際には厚めの匁のタオルを選ぶと良いでしょう。一方、濡れた状態で使う場合は薄めの匁のタオルを選ぶことで、重さが増えずに使いやすくなります。このように、匁ごとに適した用途があるのです。
ここではフェイスタオルを例に、具体的に解説しますので、どの匁のタオルを選ぶべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
60~180匁のフェイスタオルの使用シーン
60~80匁の薄手のタオルは、温泉や銭湯でよく見られます。薄めなので、濡れたときに絞りやすく、速乾性も高いのが特徴です。また、使用する綿の量が少ないため、他の匁のタオルと比べて価格が安く、名入れタオルを作成する際にも人気があります。温泉や銭湯を運営している方はもちろん、コストを抑えたい方にもおすすめです。
200~220匁のフェイスタオルが使われるシーン
200~220匁のタオルは、標準的な厚さを持ち、一般的に広く使用されています。台所や洗面所で手拭きタオルとして最適です。扱いやすく万能なため、贈り物としても喜ばれるタオルです。特に220匁のタオルは、200匁のものよりも厚みがあり、高級感があるため、名入れタオルとして粗品にも適しています。
240~260匁のフェイスタオルが使われるシーン
240~260匁の厚手のタオルは、美容院やエステサロン、ホテルなどでよく使用されています。厚みがあるため速乾性はやや劣りますが、ふわふわとした柔らかな手触りと豊かなボリューム感があり、高級感を演出しています。
各種タオルのおすすめの厚さ
前回はフェイスタオルを例に、匁ごとの適した使用シーンについて説明しましたが、タオルの種類ごとにも一般的に推奨される厚さがあります。以下に各種類について詳しく解説します。
ミニタオルのおすすめの厚さ
ミニタオルには、40~80匁の厚さが適しています。持ち運びがしやすく、水を吸った後もかさばりにくいため、日常使いに非常に便利です。
ハンドタオルにおすすめの厚さ
ハンドタオルには、80~140匁の厚さが理想的です。ミニタオルよりも厚みがあるため、吸水性が高く、ハンカチとしても使いやすいです。また、贈り物としてもシーズンを問わず喜ばれるため、おすすめです。
洗面台・キッチン用タオルにおすすめの厚さ
洗面台やキッチンで使用するタオルには、200~220匁の厚さが一般的に好まれています。適度な厚みがあり、手を拭く際にちょうど良い使い心地です。
スポーツタオルにおすすめの厚さ
スポーツイベント用のタオルには、250~400匁の厚さが推奨されます。スポーツをする際には、汗を拭くために一定の吸水性が必要です。少し厚めのタオルを選ぶことで、汗をかいても安心です。
バスタオルにおすすめの厚さ
バスタオルには、800~2000匁以上の厚さが適しています。お風呂上がりには、非常に高い吸水性が求められるため、匁が大きいタオルが最適です。また、2000匁のタオルは記念品や高級旅館で使用されることが多く、高級感があるため贈り物にも最適です。
ノベルティのタオルで人気なのは200匁
ノベルティとして人気のタオルは、160~240匁の範囲です。匁が大きくなると生地が厚くなる分、使用する綿の量も増え、その結果タオルの価格も上がります。ノベルティや記念品として名入れタオルを作成する際には、大量に製作する必要があるため、予算内で作成できるのは160~240匁が一般的です。特に200匁がよく注文される傾向にあります。名入れタオルを作成する際は、予定枚数と予算を考慮して、タオルの匁を決定しましょう。
おわりに
今回は、匁の意味や重さ・厚さの違い、計算方法、さらに使用シーンごとのおすすめの匁数について詳しく解説しました。
匁はあまり馴染みのない単位ですが、匁ごとに適した使用場面やタオルの種類が大きく異なるため、タオルを選ぶ際には重要なポイントになります。匁について正しく理解し、自分のニーズに合ったタオルを選ぶことが大切です。